リノベーション物件と外国籍入居者は好相性
ホームパス利用で「日本での暮らし」に安心感を

リズム株式会社 賃貸管理部 カスタマーサポート課 課長 矢田健一様
[聞き手]株式会社WAKLUS 代表取締役 本間信二

リノベーション賃貸の運営など、不動産の新しい価値創出に取り組むリズム株式会社。若年層向け賃貸物件を中心に人気を集め、着実な成長を遂げてきました。コロナ禍により厳しい時期を経験したことを機に、改めて「住」の付加価値に向き合い、一人ひとりが自分らしいライフスタイルを楽しめるような物件提供のあり方を模索しています。その個性的な顧客の一群として、外国籍入居者をどう受け入れていくべきか、同社カスタマーサポート課で課長を務める矢田健一様との対談から探っていきます。

リノベーションによる個性豊かな物件が、若い層や外国籍の方にも人気

本間:御社は「リノベーション投資セミナー」を開催して20〜30代と若いオーナーさんを募り、個性的でおしゃれな物件を多く取り扱っていらっしゃいます。「次世代不動産」と呼ばれるなど、従来のいわば体育会的な不動産会社とは一線を画す、スマートなイメージがあります。

矢田氏(以下敬称略):確かに、勤務時の服装もカジュアルな人が多いですし、お客様ともフラットに接するので、そんな印象はあるかもしれませんね。もともとリズムの創業は「住む人が喜ぶような住まいを提供したい」という思いが原点。ですから、お客様一人ひとりに丁寧に向き合い、コミュニケーションを図りながら、お客様の「理想の住まい」を伺うようにしています。
 しかしながら、賃貸の部屋はノーマルなタイプがほとんどで、若い方々を中心に「自分らしいライフスタイル」を重視する人が多い中で、なかなか「これは」という物件が少ないのが悩みでした。一方、中古マンションはただ年数が経っているというだけで賃料が低い。そこで、中古マンションをリノベーションして魅力ある物件として確保し、「こういう物件に住みたい!」という方に賃貸として提供するという仕組みを考えたわけです。

本間:なるほど、中古物件を付加価値をつけて賃貸に出したいという方と、魅力ある住まいに住みたいという方の両方のニーズに応えようとしているわけですね。リノベーションセミナーという形での集客もユニークですし、齋藤社長が上梓されている著書も大変反響があると伺います。実際、管理戸数はどのくらいになるのですか。

矢田:現在は2,700戸位ですね。そのうち自社で企画したリノベーション物件は750戸位です。全てを自社で企画したリノベーション物件にするのはなかなか難しい為、現在はリノベーションが出来る物件を中心に仕入れの強化をすすめています。

本間:ますます御社らしい、個性ある物件を提供していくところに注力されるということなのでしょう。そうなると、様々な方が自身に合った物件を探しに来られると思います。当社がお手伝いしている外国籍の入居者様からも、御社の物件は人気が高いんですよ。

矢田:当社としても、重要なお客様として、ご紹介をありがたく思っています。たとえば渋谷エリアでは、外国籍の入居者様は3割近くにもなり、ワクラスさんを通じてそうしたお客様にも訴求できることが当社の強みになっています。それだけに、コロナ禍での入国制限は大打撃でした。

外国籍の入居者は、重要な顧客群の1つとして無視できない存在に

本間:インバウンドの需要はかなり落ち込みましたからね。実感としていかがでしたか。

矢田:いや、もう「いなくなって初めて存在の大きさに気づいた」なんて、歌の歌詞みたいですけれど(笑)、本当にそう思いました。人気のある物件に人は集まるので、どうしても空き家物件はでてしまうんですが、それが長期化しているので賃貸の全体数が減っているのだなと。早く出入国の制限が撤廃されることを祈っています。

本間:オーナー様の方はいかがですか。外国籍の入居者様についてご紹介する際に、何か特別な説明が必要だったりすることはありませんか。

矢田:当社のオーナー様は若い方が多いので、比較的に違和感なく受け入れてくださる方がほとんどです。職場の同僚、時には上司が外国人という方も増えていて、生活空間に外国籍の方がいるということに違和感がなくなっているのでしょう。たまに「言葉が通じないのでは」など心配される方もいらっしゃいますが、賃貸保証やワクラスのホームパスなどの説明をすると大概はご納得いただけます。

以前は、油の処理の仕方など、困惑したこともありましたが、今は情報が行き渡っているのか、そうしたこともなくなりました。入居されてから調整が必要になることがありますが、いわばそこは文化や商習慣の違いですし、交渉はワクラスさんにお任せできるので、安心しています。

本間:確かに、たとえば外国籍の方は文化的に「交渉する」のが当然だったりするので、オーナーさんとしてはびっくりされるんですよね。でも、あからさまに開き直ることはなくて、説明すれば納得してもらえる。

矢田:むしろ日本人で無理をいう方のほうが対処に苦慮することが多いです。ただ、コロナ禍ということもあったのか、「今日の飛行機で帰らなければならない」ということがあり、その際はさすがに焦りましたね。でも、ワクラス・ホームパスだと、慌てて入居者と交渉する必要がないので助かりました。

本間:退去手続き中に「もう飛行機が間に合わないから」なんて言われた時はさすがに私も慌てましたよ(笑)。でもまあ、そのあたりの後始末は慣れているので、問題なく対応できました。

矢田:そこはもう本当にありがたいですね。保証会社の場合、何かあった場合、多言語コールセンターにメールで「入居者様に連絡してほしい」とご連絡して、入居者様にお話をきいていただいて、そのご連絡をいただいてお返事して…と、あくまでやってもらえるのは通訳係までなんです。それもメールなので、どうしてもタイムラグができてしまう。でも、ワクラスさんの場合は、一度ご連絡するだけで、全部解決して報告いただけるので、楽をさせてもらっています。

自分らしい個性豊かな「日本での暮らし」を外国籍の方にも提供する

本間:今後、コロナ禍が一段落して出入国の制限が撤廃されれば、外国籍の入居希望者は一気に増えることになるでしょう。

矢田:当社としては、ぜひともウェルカムですね。ワクラスホームパスのようなサービスを利用できれば手間も不要ですし、むしろワクラスさんが連れてきてくださる方は、しっかりした良いお客様なので、大いに期待しています。

本間:ありがとうございます。当社としても、御社がご用意くださるお部屋は、外国籍の方にも好評なので、ご紹介しがいがあります。

おそらく、これまでの賃貸物件はプレーンな部屋ばかりで、できるだけ多くの方にリーチしようという「網」のような発想だったと思います。でも、御社の場合、それぞれ住む人が自分らしさで部屋を選べるような仕組みをつくっていらっしゃる。その点において、お国柄や個性を重視する外国籍の入居者にも大変フィットしていると感じています。

矢田:確かにそうですね。個人的にはもっとターゲットを絞って訴求する、マーケティングがもっと賃貸業界にあってもいいのではないかと感じています。たとえば、防音設備は音大生には魅力とか、大きな本棚が読書家には魅力とか。普通の人よりも少し多く払ってでもそこに住みたい人というのがいるはずなんです。

本間:ちなみに外国籍の方に人気の部屋の傾向などはありますか。

矢田:やっぱり学校の多い新宿・池袋エリア、広めでキッチンが充実していることでしょうか。日本に来たのだから畳を選ぶのかと思いきや、やはり洋室を選ばれますね。逆にこだわりが少ないのがお風呂で、三点ユニットやシャワーさえあれば十分という方が多いです。

本間:水回りは改装費がかかるので、そこはオーナーさんとしても外国籍の方向けを意識すると、リノベーション費用を抑えつつ、面白い部屋ができそうですね。あと、日本人は新築にこだわる人が多いですけれど、外国籍の方は外側が古くてもあまり気にしない人が多いですね。そのあたりは、御社のリノベーション物件とも相性がいいかもしれません。

矢田:確かにそうかもしれませんね。「予算内で23区内に住めた」「日本の賃貸物件っぽくなくてよかった」というコメントを清掃会社を通じていただいたこともあります。気に入ってくださったためか、退去時の掃除もとてもきれいにしてくださっていました。

本間:そこは実はコツがあるんですよ。退出時にスマホで写真を撮って送ってもらうんです。その際に、「きれいにすると敷金が多めに返ってくる」とアドバイスすると、しっかりきれいにしてくださるんですよ。日本人にそれをすると煙たがられることが多いのですが、外国籍の方は割と素直に聞いてくれますね。また、壊れたところなどを指摘して、「このくらいかかるかも」と予想をお伝えしておくと、すんなり受け入れてくださることが多いです。しかも、同じ国のスタッフより、日本人スタッフが伝えたほうがスムーズにまとまりやすいんですよ。

田:なんと、いろいろと工夫というか、知見がおありなんですね。そういう積み重ねでスムーズに対応していただけているのだと思います。今後も頼りにしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

本間:こちらこそ、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。本日はお時間をいただきまして、ありがとうございました。

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